経営者として忘れてはいけない「恩返しと社会貢献」
経営者に限りませんが、生きていれば恩義を感じ、「いずれは恩返しがしたい」と思うものです。しかしながら、すべての人に恩を返すには人生はあまりに短い。では、どうやって恩返しをしていけば良いのでしょうか。私と同世代の人たちにも、また若い人たちにも本稿を参考にしていただければと思います。
※本稿は、SAKURA United SolutionのYouTubeチャンネル内に開設した、iU学生起業家の茂木大暉氏(GADGETANKER LLC CEO)の経営相談に応える新コーナーより一部抜粋、編集したものです。
※iU(iU情報経営イノベーション専門職大学):2020年に設置され、東京都墨田区文花に本部を置く日本の私立専門職大学。産業界と連携した新しい学び、イノベーションを起こす人材を育成している。井上一生は、iUの客員教授を務めている。
【iU学生起業家の疑問・課題をトコトン解決】深夜ラジオ感覚で“聞く”経営相談室
すべての恩は返しきれない
まずお伝えしたいのは、「恩や感謝は返しきれない」ということです。
「いずれは恩返しを」と思っていても、経営者は目の前のことに追われて毎日が忙しく過ぎ去ってしまい、「いずれ」は意識的に時間を確保しなければいつまでも来ません。
例えば、親への恩や感謝を返しきれるでしょうか。親の介護をする。親と旅行に行く。孫の顔を見せてあげるなど、親孝行・恩返しの方法はいくらでもあります。どんなにその時間をつくれたとしても、それでも親への恩は返しきれません。しかし親もその親・祖父母への恩を返しきれないのですから、やはりすべての恩は返しきれないものなのです。
では、どうすれば良いのか。
その答えは、世の中に役立つ良い仕事をすることです。それが親に対する恩返しであり、人間にしかできないことだと思います。
経営者であれば、親以外の恩人がたくさんいるでしょう。
「創業時に助けてくれた恩人」
「経営が苦しいときに手を差し伸べてくれた恩人」
「会社の成長に貢献してくれた恩人」
など、挙げればキリがありません。そのたくさんの恩人にも恩は返しきれないのですから、自分が立派な仕事をすることが巡り巡って恩返しになるのだと私は思います。
「社会貢献」という言葉がありますが、経営者にとっての社会とは、お客様であり社員であり取引先です。その人たちに貢献することが社会貢献だと考えれば、行動に結びつきやすいのではないでしょうか。漠然と「社会貢献がしない」と思っても、具体性がないと行動できません。
社会貢献とは客数なり
私のメンターであるサイゼリヤの創業者・正垣さんから、
「社会貢献とは客数なり」
と教わったことがあります。お客様を増やし、売上を増やし、利益を増やし、事業を拡大して雇用を増やし、またお客様を増やす。その好循環をつくることが社会貢献なのでしょう。雇用創出すれば、その人たちがお金を使い、社会にお金が巡ることになります。
そのためには、社長は給与を他の人よりもたくさんもらう必要があります。これはエゴではありません。浪費・散財せずに、所得税を払ってお金を貯めておき、増資で会社に還元するのです。そうして会社を強くし、より業績をあげて成長することで社会貢献、社会へ還元していきます。
特に起業から間もないうちは、株を分散させずに会社を強くする必要があります。今はVC(ベンチャー・キャピタル)などから資金調達する方法もありますが、いきなり株を分散してしまうのはリスクです。自分が稼げるうちは自分で稼ぎ、お金を会社に還元して会社を強化するのが良いでしょう。
財務を強化する方法は会社によってさまざまですので、財務力強化や財務体質の改善、資金繰りなどについてもお気軽にご相談ください。