顧客本位の保険提案×本質的な経営支援×特化型AI活用──2026年の保険業法改正後も選ばれ続ける保険営業であるために
来年2026年の保険業法改正が迫る中、保険代理店や保険募集人には、コンプライアンス厳守とともに“経営支援の視点”がますます求められています。生成AIやAIエージェントの進化と普及、規制の強化、そして顧客ニーズや顧客体験の変化に対応し、選ばれ続ける保険営業になるために必要な考え方とは──。本稿では、近未来の保険営業像について考察します。
保険業界を揺るがす2つの変化──業法改正とAIエージェントの進化
2026年の保険業法改正は、保険代理店の経営と保険営業のあり方に大きな影響を及ぼします。
損保・生保業界で相次いだ不祥事を受け、提案の透明性と記録性、顧客本位の徹底が強く求められるようになりました。これに伴い、金融庁は「資産運用・保険監督局」を新設し、管理体制の厳格化が進んでいます。
もうひとつの大きな変化は、AIエージェントの普及です。
今後、個人向け保険のマーケットでは、従来のように週末のカフェや保険ショップでの対面相談ではなく、スマートフォン上でAIと対話しながら保険加入が完結する時代が到来します。ライフプランニングも、AIエージェントによる自動設計が主流になっていくでしょう。人間と比べ、AIエージェントにはコミッションバイアス(保険募集人自身のコミッション起点の提案)がありませんから、その普及は不可避と考えられます。
法人保険は“経営支援”そのもの──提案力の再定義が始まっている
こうした変化の中で、法人向け保険マーケットは異なる性質を持ちます。法人保険の提案には、次のような視点が求められるでしょう。
●会社の事業計画や承継計画と経営者個人、そのご家族のライフプランの統合
●自社株対策や事業承継を含めた資産設計
●役員・従業員の福利厚生設計
これらは単なる保険商品の説明ではなく、“経営課題に対する解決策”としての提案が必要になります。
つまり、法人保険は「経営支援の一手段」として再定義され、保険募集人自身に経営視点と全体最適の知見が求められる時代です。
AIが人の業務を補助し、専門家チームが支える──“ひとりで抱えない”提案体制へ
とはいえ、すべての保険営業が豊富な経営経験や経営知識、財務・税務知識を持つことは難しいのが現実です。
そこで注目されているのが、AIの補助的活用と複数の士業・専門家とのアライアンス構築です。
たとえば、ASUNA Alliance Consultingが開発している以下のAIツールがあります。
●経営相談AI:決算書やキャッシュフローを分析し、経営課題を可視化
●税務相談AI:国税出身税理の知見を学習させたAIが、税の最適化、相続や事業承継に関する助言を生成
●保険提案AI:会社の経営状況に基づいた保険活用のシナリオや保険分析結果を提示
こうした特化型AIを活用することで、若手や経験のまだ浅い保険営業でも経営に踏み込んだご提案が可能になります。さらに、税理士・社労士・行政書士・弁護士・不動産鑑定士などの専門家と連携することで、より高度な提案・実行支援までを“オールイン・ワンストップのチーム”で提供できる体制を築けます。
営業スキルからコンサルスキルへ──「選ばれ続ける保険営業」になるために
これからの保険営業に必要なのは、商品説明スキルよりも課題解決スキルです。
特に法人では、保険という手段を用いて、事業の未来や経営者の人生設計にどう寄与するかが問われます。
たとえば、
「事業承継に向けて、いつ・誰に・どれだけ資金が必要か」
「新規投資や法人設立時に、どの補助金や保険制度が使えるか」
「従業員の退職金準備や福利厚生に、どう保険を活用できるか」
といった問いに答えられる保険営業が、今後も選ばれ続ける人材です。
これは一人の力では難しいかもしれません。だからこそ、AI・士業・専門家と連携し、チームで顧客に向き合う姿勢が強みになります。
“経世済民”の志で、経営に寄り添う保険営業へ
「経世済民(けいせいさいみん)」という言葉があります。
「世をおさめ、民をすくう」、つまり経営を通じて社会を良くするという思想です。
今後目指すべき保険営業の未来像も、ただの販売活動ではなく、経営者とその家族・社員、そして地域の未来に貢献する“伴走者”であるべきだと感じます。
AIは敵でも脅威でもなく、強力なパートナーです。
専門家ネットワークは、心強い仲間です。
保険営業のあなたに「お客様のために」という志があれば、どんな時代も生き残れる。
私はそう確信しています。
賛同していただけるようでしたら、いつでも私たちにお問い合わせください。
●関連法人の一覧
SAKURA United Solution株式会社(2022年7月より社名変更/旧:株式会社さくら経営)
一般社団法人さくら労務実務研究所
人財創造有限責任事業組合


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