若手担当者でも深い経営相談ができる時代へ──AIと変える会計事務所のあり方
「ただの代書・決算申告しかできない会計事務所や節税しか提案できない会計事務所は、もう選ばれない」。中小企業が本当に求めているのは、「経営の相談にのってくれる専門家」です。そんなニーズに応えるために開発を進めているのが、2026年1月に正式リリース予定の SAKURA税務AI(仮称)。税務を超えた提案力の底上げを実現し、若手担当者でも経営者から信頼を得られる会計事務所へ。未来のスタンダードとなる新たな取り組みをご紹介します。
幅広い経営課題にAIで対応──中小企業のリアルなニーズに寄り添う
「節税だけでなく、売上を伸ばしたい」
「資金繰りの相談にものってほしい」
「人材不足をどうすればいいか聞きたい」
こうした現場の声に、私たち会計事務所はどこまで応えられているでしょうか?
SAKURA税務AI(仮称)は、税務知識だけにとどまらず、以下のような幅広い領域に対応することを目指しています。
・売上増加施策のご提案
・金融機関向けの資料作成と資金調達支援
・人手不足の解消に向けた業務設計、BPO(外注化)活用アドバイス
・相続・事業承継のシミュレーションとご提案
これにより、AIが提案の“たたき台”を提示し、専門家がそれをブラッシュアップしてご提供するという、「人とAIの協働」による提案プロセスを実装します。
若手担当者でも“ご提案ができる”を実現──会計事務所全体の信頼性を向上
お客様からの「ちょっと聞きたいんだけど…」というご相談に、若手担当者が自信を持って対応できたら──それだけで会計事務所の信頼性は大きく変わります。
SAKURA税務AI(仮称)は、これまでベテランしか対応できなかった経営相談にも、若手担当者が臆せず取り組める環境をつくります。AIが事前に施策候補やリスク分析を整理してくれることで、若手担当者の発言にも裏付けが生まれ、「若いけど頼れるね」とお客様からの評価が自然と高まります。
特に多忙な経営者ほど、スピーディーで論点を整理したご提案を好む傾向があるため、AIによる構造化された応答は、現場での即戦力になります。
ヒューマン・イン・ザ・ループで「AIだけの限界」を超える──信頼性ある経営相談を実現
AIの活用が進む中で、多くの人が一度は不安に感じたことがあるのが「ハルシネーション(幻覚)」と呼ばれる現象です。これはAIがもっともらしく、しかし事実とは異なる回答を生成してしまう現象であり、専門性が求められる税務や経営の現場においては無視できない課題です。
SAKURA税務AI(仮称)では、この問題を解決するために「ヒューマン・イン・ザ・ループ(Human in the Loop)」の仕組みを原則として徹底しています。たとえば、お客様から経営相談を受けた若手スタッフが、AIを使って一次回答(仮納品)を提示するところまでは自ら対応します。そしてその内容は、必ず経験豊富な上長や各分野の専門家がレビューし、必要に応じて添削・訂正・加筆を行ったうえで、お客様に正式回答としてご提供します。
このプロセスを繰り返すことで、AIも専門家の知見を学習し、次回以降の仮納品段階でより精度の高い答えを導き出せるようになります。つまり、AIと人の学習サイクルを統合した「専門家とAIの集合天才」づくりを目指しているのです。
AIは画期的ですがあくまでもツールであり、最終的な判断を下すのは人間です。SAKURA税務AI(仮称)は、AIが得意とする構造化・整理・網羅の力と、人間が持つ直感・経験・倫理観を掛け合わせることで、より誠実で信頼性の高い経営支援を実現します。
9ヶ月目仮決算対策Ⓡも30分で完了!?──AIによる新しい提案スタイル
SAKURA税務AI(仮称)の真骨頂は、「9ヶ月目仮決算対策Ⓡ」にあります。従来は複数の資料とにらめっこしていたこの業務が、AIの支援により 30分以内 に整理可能になる未来が描けます。
たとえば、以下のようなAIとのやりとりが想定されます。
ユーザー
「利益が2,000万円ほど出そうです。決算対策3案の検討をお願いします」
AI
「ご提供いただいた数値をもとに、利益対策案を以下の通りご提案いたします」
1.保険契約による損金算入(法人保険等の一時払保険料による課税繰延)
2.資産の圧縮記帳の活用(固定資産の取得時の圧縮記帳)
3.役員報酬の期末調整
こうした“たたき台”がほぼ自動で提示されることで、スピードと精度を両立した決算支援が実現します。
エシカル × インクルーシブ × クリティカル──新時代の専門家像へ
SAKURA税務AI(仮称)は、単なるテクノロジーではありません。背景には、これからの時代の専門家に求められる3つの姿勢があります。
・エシカル(倫理的)
顧客に対して誠実で、透明性ある業務遂行を追求します。AIの提案も根拠付きで説明可能です。
・インクルーシブ(包括的)
障がい者を含む多様な人材が活躍できる、分業と共創の働き方を実現します。
・クリティカル(批判的)
属人的に属する業務フローや慣習に切り込み、業界全体の変革を促します。
これらの姿勢が融合することで、士業事務所やコンサルティング業務の未来像は大きく書き換えられていくのです。
人が活きるAIへ──会計事務所のアップデートは始まっている
AIの活用は、単なる「効率化」や「省人化」「コスト削減」のためだけではありません。むしろ、人の強みを活かすための基盤です。
SAKURA税務AI(仮称)は、会計事務所における日々の“判断”と“提案”を支える「知的インフラ」となることを目指しています。属人化からの脱却、チーム全体での知の共有、若手の早期戦力化──それらを現実にするために、私たちはこの挑戦を続けています。
SAKURA税務AI(仮称)は、2026年1月の正式リリースを目指して開発中です。中小企業支援のあり方が、大きく変わる未来が今ここから始まろうとしています。この変化の波にあなたも備えて、最大限活かしませんか?
・関連法人の一覧
SAKURA United Solution株式会社(2022年7月より社名変更/旧:株式会社さくら経営)
一般社団法人さくら労務実務研究所
人財創造有限責任事業組合