事業を軌道に乗せることが社会貢献であり最高の恩返し

起業すると、良くも悪くも周囲に影響を与え、ときに迷惑をかけることがあります。迷惑をかけることは、決して悪いことではないと私は思います。迷惑をかけた後、どうするか。迷惑や恩にどう報いていくのかが重要です。私は、事業を軌道に乗せ、成功することこそが最高の社会貢献であり恩返しなのだと思います。

 

 

※本稿は、SAKURA United SolutionのYouTubeチャンネル内に開設した、iU学生起業家の茂木大暉氏(GADGETANKER LLC CEO)の経営相談に応える新コーナーより一部抜粋、編集したものです。

 

※iU(iU情報経営イノベーション専門職大学):2020年に設置され、東京都墨田区文花に本部を置く日本の私立専門職大学。産業界と連携した新しい学び、イノベーションを起こす人材を育成している。井上一生は、iUの客員教授を務めている。

 

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どんな起業家も一人では成功できない

起業家にとってまず大切なのは、強い願望・ウィッシュ・志を持ち、それを明確にして言葉にすることです。そして次に大切なのは、その実行と実現のために手伝ってくれる仲間、社員、味方を探すことです。

 

どんな起業家も、どんな偉人も、一人では成功できません。スティーブ・ジョブズは、たった一人で世界を変えたのかもしれませんが、その背景にはアップルの社員、技術者たちの涙ぐましい努力があるのです。ジョブズには、それだけ人を惹きつける魅力があったのでしょう。

 

成功している経営者は、みんな人たらしです。学生起業家や若い起業家、経営者であれば、「ジジごろし」になると良いでしょう。日本の場合、業界のキーマン的な存在は、やはり年齢を重ねた人物に多いです。ですから、年上に好かれる行動をすると、スピーディーに事業を軌道に乗せ、成功することができるかもしれません。年上に好かれる行動となると、やや古い価値観をあえて活用することもあるでしょう。

 

旧レーサムリサーチの田中社長が若い営業マンのときにやってたというお話ですが、みんなが営業や訪問には行かないであろう豪雨のときにあえて訪問するのです。両手に荷物を抱えて、かつずぶ濡れで訪問するのです。相手は驚いて、会いたい人に会わせてくれるということがよくあったといいます。まさに奥の手です。昭和的な発想かもしれませんが、そんなアナログで根性論のような方法も、ときには有効です。

「学生起業家」は学生時代だけ使える最大のブランド

「学生起業」というブランドは、当然ですが学生のうちしか使えません。概ね4年だけのブランドですから、使い倒してほしいと思います。

 

ブランドがあったとしても、自動的に人が集まって来るわけではありませんから、情報発信は必要でしょう。今は、SNSやYouTube、note、ブログなど、たくさんの情報発信手段があります。しかし、そういった新しいものだけが情報発信の手段ではありません。「手紙を書く」というのも、若い世代はあまりしないことでしょうから、珍しくてキーマンの目に留まるかもしれません。

 

人生や経営は、たった一人の人物との出会いで大きく変わることがあります。多くの成功者は恩人が必ずいます。その変化はすぐ起こることかもしれませんし、数年後、数十年後に起こることかもしれません。

 

そのときが来たら、「あぁ、あの出会いがあるから今があるのだな」と思い出すのでしょう。そんな出会いを、ぜひ学生のうちにたくさんしておいてほしいと思います。学生起業家という特権です。

恩は必ずしも直接返せなくても良い

起業すれば、だれでも周りに迷惑をかけることになります。しかし、人に迷惑をかけることは決して悪いことではないと私は思います。だれしも、生きていれば大なり小なり迷惑をかけているものです。重要なのは、迷惑をかけた後にどうするかです。

 

私は、いただいた恩は直接返せなくても良いのではないかと思います。事業を軌道に乗せ、成功することで社会に恩返しをする。その人に直接返せなくても、世の中に恩返しをすれば、巡り巡るのです。起業家・経営者にとっての社会貢献は、事業を興し、それを軌道に乗せ、顧客や市場をつくり、雇用を生み出し、雇用を維持することです。

 

社会貢献という最高の恩返しができる起業家・経営者を、私たちは一人でも増やしていきたいと思います。これもご縁をいただいた先輩に対する世の中に向かっての恩返しなのです。