起業1年目で最も重要なこと

起業して1年目はとにかく多忙で、日々試行錯誤しながら走り回るように働いていると思います。私自身も、起業して間もない頃はそんな毎日を送っていました。どんなに忙しいときでも、起業家なら意識しなければいけないのが「生き残ること」です。大成功よりも、まずは小さな成功を積み重ねること。本稿では、そんな小さな成功についてお伝えします。

 

※本稿は、SAKURA United SolutionのYouTubeチャンネル内に開設した、iU学生起業家の茂木大暉氏(GADGETANKER LLC CEO)の経営相談に応える新コーナーより一部抜粋、編集したものです。

 

※iU(iU情報経営イノベーション専門職大学):2020年に設置され、東京都墨田区文花に本部を置く日本の私立専門職大学。産業界と連携した新しい学び、イノベーションを起こす人材を育成している。井上一生は、iUの客員教授を務めている。

 

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起業1年目は成長よりも生存

iU学生起業家の茂木さんから「起業して1年目でしなければいけないこと」について、ご質問をいただきました。私は、起業して1年目はなによりもまず、「生き残ること」が重要だと思います。

 

・人を雇用したら給与を払うこと

・設備や備品を買ったらお金を払うこと

・銀行からお金を借りたら返すこと

・返せないお金は借りないこと

 

などの、当たり前の約束を守ることが重要です。起業1年目は、成長よりも存続。潰れずに2年目を迎えられるように、生存対策をしっかりとすることです。

 

最初から大きな会社なんてありません。小さいなら小さいなりに、止まらず存続すること。3人なら3人、10人なら10人のお客様をしっかりと満足させること。社員に給与を毎月ちゃんと払うこと。出ていくお金よりも、入って来るお金の方が大きくしていくこと。

 

これらが、起業1年目でやるべきことです。「そんなのは当たり前のことじゃないか」と思うかもしれませんが、実際に起業してみると当たり前のことが当たり前ではなくなりますし、当たり前のことがどれだけ恵まれていたかを痛感することになります。

 

起業1年目も、社員が辞めたり人が離れたりすることもあるでしょう。しかし、それにめげずに続けることです。

 

また、一人でも多くの顧客を獲得したいがために、価格を安くすることがあります。値下げすることは簡単ですが、それで本当に会社は存続できるのか。生存対策の逆をやっていないか、自分で自分の首を絞めることにならないかをよくよく考える必要があります。

大成功よりも小さな成功を積み重ねること

テック系のベンチャー・スタートアップ企業の方で、「開発に数億円かけてきた。もう少し資金があれば、良い商品が完成する」という方がいらっしゃいます。天才的な発明家は、最初から100点満点を求めてしまいがちです。しかし技術の世界は日進月歩で、開発を終えた頃には、また新しいもっと良い技術が生まれているかもしれません。

 

いきなり100点満点の商品を目指すよりも、まずは基本的な機能をしっかりとつくり込むことが重要ではないかと思います。100点満点の商品は、もしかするとオーバースペック(過剰品質)で市場がそこまでの品質を求めていないかもしれません。まずは形にして、徐々に機能や品質を上乗せしていく方が堅実なのではないでしょうか。

 

もちろん、勢いのあるベンチャー・スタートアップ企業が巨額の資金調達を行い、一気に商品開発やマーケティングを加速させる場合もあります。しかし、メディアに掲載されるような大きな資金調達のニュースは、あくまでも例外です。多くの起業家にとっては、身の丈に合わない話なのです。1000件に1件、1万件に1件の世界です。

 

私たちは、GAFAのような巨大企業ではありませんし、アメリカのメガベンチャーのマネをしてもフィットしないのです。まずは、小さくても一歩を踏み出すこと。小さな成功を確実に掴むことです。その積み重ねが、未来を創るのです。

1から10まで起業家自身が対応する必要はない

起業1年目はとにかく忙しくて、記憶がないくらい多忙です。しかし、仕事の1から10まですべてを起業家自身がやる必要はありません。

 

・商品開発

・顧客開拓、営業

・給与計算、給与振込

・資金調達、銀行交渉

・経費処理

・人材採用、人材育成

 

開発、営業、財務、人事労務…これら全部を自分でやることになるわけですが、すべてを完璧にこなせたら本当にスーパーマンです。必ずどこかに抜け漏れがありますし、ミスが起こります。そもそも、起業家本人が開発、営業、財務、人事労務などのすべてに精通していることなどありません。

 

業務が多いとおのずとハードワークになるわけですが、若いうちなら毎日ハードワークもできますが、家庭があれば家庭に影響を及ぼすことになります。1から10まですべて自分一人でやろうとせず、自分にしかできないことをやること。それ以外のことは、人に任せること。やらないことを決めることが重要です。

 

今は、大抵の業務は調べれば安く請け負ってくれる会社や人が見つかります。自分にしかできない仕事は、どんな仕事なのか。コア業務とノンコア業務の整理など、業務の棚卸をしながら設計していくと良いでしょう。

 

弊グループにはバックオフィス業務等を請け負うBPO会社もございますので、そんな起業時のご質問やお悩みも、一度お気軽にご相談いただければと思います。