「他力の風」で業界を変える──会計事務所経営の未来像と実践例(後編)
「一人の力は、あまりに小さい」この現実を素直に認めたとき、人は新しい選択肢を手にできます。それが“他力の風”を活かすという発想です。オール自前主義を手放し、共通化できる業務は任せ、AIを味方にする。そうして生まれた余力を、お客様の真のニーズに集中する。これが、私たちが実践してきた「生き延びる会計事務所」のあり方です。前編に続く今回の後編では、私たちがどのように“共通化”と“他力”を組み合わせて仕組み化してきたか。そして、これからの士業が目指すべき「集合知と人間性の融合」について、お伝えしていきます。
在宅140名・障がい者・海外人材──「他力」のネットワークを育てる
「人手が足りない」という声を、業界内で毎日のように耳にします。
でも本当にそうでしょうか?
“自分の事務所内で”しか解決を探していないから、限界が来るのです。私たちは、約140名の在宅ワーカーを全国に組織化しました。地方在住の主婦、リモートで働きたい育児中の方、定年後の再就職者──記帳や仕訳などの定型業務は、在宅で分担し合うことができます。
加えて、障がい者支援施設(就労移行支援、就労継続支援A型・B型)をグループ内で開業し、業務を分担しています。さらに、日本語が堪能なベトナムの若者たちを、ベトナム・ハノイの現地で育成し、オフショアBPOセンターを構築。文化も国も能力も異なる多様性の世界で、業務を“仕組み”として再設計しているのです。
これが、“他力”を「システム」として捉える発想です。
ひとりではできないことも、ネットワークと仕組みがあれば可能になる。
それが現代の「集団知による生存戦略」です。
健常者と障がい者
全国の在宅ワーカーとオフィスワーカー
日本人と外国人
試験組税理士と官界出身税理士
税理士士業とその他の専門コンサルタント
地方と都会
みんながそれぞれの強み、価値観を持ち寄り、ダイバーシティ(多様性)とインクルーシブ(包み込み)な「集合天才」のプラットフォームを、一緒につくっていきませんか?
AIと人が協働する時代──経験値に依存せず提案ができる仕組み
私たちは現在、AIによる提案支援システムを自社で開発しています。
お客様からの相談内容をAIに入力し、仮回答を生成。それをチームでチェックし、さらにAIに再学習させ、完成度の高い提案をつくる。
この“人とAIの対話”を繰り返すことで、若手スタッフやパート社員でも、20年選手のようなご提案ができるようになるのです。AI開発などと聞くと、「大企業にしかできない」と思われがちですが、本質は開発力ではなく、「どう仕事に組み込むか」です。
私たちは微力ながら、そうした“仕事としてのAI活用”を実践しています。
もう「人間がAIに勝つ」ことに執着するのはやめましょう。
AIにはAIの役割を。人間には人間の役割を。
そして人間にしかできないこと──それは、お客様と“ともに考える”ことです。
業界を変えるために──「試しに、話を聞いてみませんか?」
税務相談、相続対応、節税提案、税務調査対応…
すべてに詳しい“完璧な税理士”など、現実には存在しません。
税務実務は法律だけでなく、通達や運用方針が頻繁に更新される極めて流動的な世界です。
だからこそ、“仲間”と情報を共有し、“組織”で判断することが必要なのです。
それが「他力の風」を使う、ということのもう一つの意味です。
会計事務所は、もはや“一人で守れる事業”ではありません。
AI、DX、人材育成、採用、営業、顧客開拓、教育、資金調達…。
個人経営で、すべてを担うのは限界です。
だから私は、「仲間で力を合わせる」体制を本気でつくっています。
業務を共通化し、組織で支え合い、個々の得意を活かす“役割分担型の会計事務所経営”へ。
それこそが、“他力の風”を最大限に活かす道です。
もし、私の話に少しでも共感してくださるなら。
もし、自分の事務所の未来に不安があるなら。
一度、話を聞いてみてください。
乗っ取るつもりも、譲渡を迫るつもりもありません。
ただ、「共に考える仲間が欲しい」と願っているだけです。
動画やセミナーでも、直接でも、あなたの声をお聞かせいただけたら嬉しいです。
他力とは、あなたにとって私であり、私にとってあなたである、ということです。その関係性の中で、AI時代を生き延びる新しい士業事務所経営を、一緒に模索していきましょう。
- 関連法人の一覧
SAKURA United Solution株式会社(2022年7月より社名変更/旧:株式会社さくら経営)
一般社団法人さくら労務実務研究所
人財創造有限責任事業組合