なぜ多くの会計事務所には経営改善指導ができないのか?
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「税理士」「会計事務所」と聞くと、多くの経営者の方は
「数字や経営のプロフェッショナル」だと感じるかもしれません。
税理士・会計事務所は、税務会計には詳しいですが
税務会計だけが会計ではないのです。
会計には、税務会計のほかに財務会計と管理会計があります。
税務会計は、税務申告のために必要な過去の会計。
財務会計は、資金繰り・資金調達のために必要な未来の会計。
管理会計は、売上アップのために必要な未来の会計。
と、それぞれ定義できます。
税理士・会計事務所は、過去会計にしか対応できないのです。
そのため、多くの会計事務所には経営がわかりません。
その原因は、たった1つ。
「税理士にとって、お客様は税務署だけだから」です。
お金を払ってくれる人は、会計事務所用語では「関与先」です。「お客様」ではありません。
私は個人的に、この「関与先」という会計事務所用語が好きではありません。
本来のお客様である、経営者の方を向いていないからです。
「関与先」という言葉は、元々は税務署のものです。そのまま税理士も使っています。
お客様のことを「関与先」と呼べる既存の税理士文化を、私は受け入れられません。
私どもの会計事務所部門では、お客様を関与先と呼ぶことは厳禁です。
経営については、本来的にわからないし、興味もない。
お客様の経営に役立つ財務会計や管理会計は、興味は多少ありますが使いこなせない。
悲しいですが、それが多くの会計事務所の実態なのです。
例えば、かつて輝かしい業績を上げたある法人を、
二代目が「後継者がいない」ということで手放すことになりました。
その会社の決算書のコピーがあります。
売上は2000万円。赤字。
他社に「仮払金」で1億6000万円。
社長から「仮受金」で8000万円。
数期にわたって似たような内容です。
これだけの情報なら、銀行は絶対にお金を貸せないでしょう。
大変残念なことですが、このような決算申告書を、平気で世の中に出せる税理士が存在します。
「仮受金」「仮払金」などという性格の未確定な勘定科目を、
多額のまま何期も決算書に載せ続けるなんてことは、私どもならしません。
少額なら問題ないのですが、社長からの借入金は
どの科目に分類されていますか?
私どもの解釈では…
仮受金は大×
短期借入金も×
長期借入金も△
役員借入金が◎
だと考えています。
税理士・会計事務所は、機能しないなら優秀な税理士に乗り換えてください。
社長ご自身の身のためです。
私どもも受け入れます。そのような自由競争のなかで、成長して来たのですから。