社会課題解決を阻む「敵」とは──中小企業支援に本当に必要な覚悟

経営支援を掲げながらも、現実には中小企業の未来を閉ざす一因となっている存在があります。マハトマ・ガンジーが説いた「七つの社会的罪」が示すように、現代にも深く根を張る倫理的課題が存在するのです。本稿では中小企業の経営支援を実践する立場から、社会課題解決のために乗り越えるべき「敵」について考察し、未来を切り拓くためのアクションをご提案します。

マハトマ・ガンジーの「七つの社会的罪」が現代に突きつけるもの

1925年、イギリスの雑誌『Young India』に掲載されたマハトマ・ガンジーの「Seven Social Sins(七つの社会的罪)」は、今なお色褪せることなく、私たちに問いかけ続けています。

 

そこでは、「労働なき富」「良心なき商業」「人格なき学識」など、社会を蝕む根源的な問題が指摘されました。これは単なる道徳論ではなく、ガンジーは社会に害をなす「構造的な無責任」を鋭く糾弾していたのです。

 

この視点は、現代の中小企業支援にもそのまま当てはまります。目先の利益や効率性にとらわれ、本来なすべき支援や指導を怠ること──それは、「良心なき職務遂行」という罪に他なりません。結果として、中小企業の成長機会を奪い、社会課題の解決を遠ざけてしまうのです。

 

税理士や社会保険労務士といった専門家が、本来果たすべき役割を忘れ、単なる形式的な代行者にとどまったとき、中小企業の未来は閉ざされるのではないでしょうか。ガンジーが鳴らした警鐘は、形を変えて今も私たちの足元に鳴り響いています。

中小企業を追い込む「やっつけ経理」と無責任な専門家たち

私が中小企業経営の現場で直面している「敵」は、非常に明確です。それは、未来を見据えず、目先の処理に終始する会計や経理の在り方、そしてそれを助長する専門家たちです。

 

私どもは会計事務所として、必ず守らなければいけない矜持を明確にしています。

 

決算の3ヶ月前、つまり9ヶ月目に、すべてその段階で仮決算をしてどのような決算書になるかという着地点の予測をしております。「9ヶ月目仮決算対策」というイベントを、決算3ヶ月前のすべてのお客様にチェックをする作業をしております。グループ内で行われるこの「9ヶ月目仮決算対策」のための担当者会議には、私も参加しております。

 

なにも考えず、会計担当に任せきりで数字を集計し、決算申告書をつくる。いわゆる決算・申告書。他の会計事務所からお客様が変更で、私たちの担当になった後、数字を見るわけですが、私たちは「できちゃった決算書」と、そのやっつけの決算書を揶揄しています。

 

その無責任さに、同業者として怒りすらも感じます。本当に多いのです。あるとき、金融機関の方にお話をしたら本当に多く見ると仰います。

 

たとえば、決算書を単なる「申告のための書類」としか見ていない税理士が残念ながら存在します。未来の資金調達や事業展開を支えるべき財務書類が、ずさんな経理処理によって歪められてしまうのです。

 

社長に対する仮払金や仮受金が、何千万円と積み上がった決算書を見た銀行は、当然ながら融資をためらいます。B/Sで引き直してみれば、隠れていた債務超過が発覚することも少なくありません。それにもかかわらず、「申告できれば良い」という態度で放置されてしまうのです。

 

また、資金繰りが厳しい中小企業に対して、月次決算体制の重要性を説かず、経営計画書の作成を勧めもせず、正しい金融機関との付き合い方を教えない、あるいはそもそも知らない税理士もいます。向上心がないからなのか、DX(デジタル・トランスフォーメーション)やAX(オートメーション変革)にも無関心で、BPaaS(Business Process as a Service)といった新しい経営支援にも対応できません。

 

こうした無責任な専門家たちは、過去の遺産とポジションに安住し、商工会議所の副会頭のような役職などに収まりながら、地域経済に影響力を持っているケースも見受けられます。しかし実態としては、中小企業の成長を支えるどころか、阻害しているのが現実です。このような存在こそが、私にとって社会課題解決の障害となる「敵」であると考えています。

社会課題を本気で解決するために──新たな受け皿を作る

だからこそ、私は行動を起こします。

 

地域ごとに、志を同じくする若手の税理士や社会保険労務士、専門家と連携し、「地域企業支援チーム」を立ち上げてまいります。それが、ASUNA Alliance Consultingです。

 

社会課題解決という共通の価値観を持つ仲間たちに、積極的に仕事をシェアし、地域の中小企業支援を新たなステージへと引き上げたいと考えています。すでに、広島や愛媛でスタートしているプロジェクトチームもあります。

 

この未来に向けた活動を加速するために、私たちの企業グループとは別に、新たな税理士法人と社会保険労務士法人を短期間で立ち上げる準備を進めています。単なる帳簿整理ではありません。私たちが商標登録している「9ヶ月目仮決算対策」という仕組みを軸に、未来を見据えた戦略的な決算書作成を支援し、企業の成長を本気で後押しする体制を整えてまいります。

 

資金不足、売上不足、人手不足──中小企業が抱える「3悪」に真正面から向き合い、銀行との信頼関係を築き、資金繰り改善に直結する支援を行う。それが私たちの使命です。

 

社会課題を本気で解決したいのであれば、まず「敵」の解像度を上げ、直視しなければなりません。そして、ためらわずに行動を起こす。ダメで元々、何度でも行動を起こし続ける。挑戦に失敗はつきものですが、だれよりも早く挑戦し、早く失敗し、早く立ち上がり、再び挑戦すれば良いのです。未来は、だれかが創ってくれるものではありませんし、予測するものでもありません。私たち自身が、手を伸ばして創り上げるものです。

 

一緒に未来を創りたいという方は、ぜひ一度ご連絡ください。

 

 

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