新田信行氏 特別顧問就任記念セミナー「アフターコロナへの提言~ポストゼロゼロ融資について語る~」レポート 後編

2022年9月15日に配信しましたプレスリリース「新田信行氏・特別顧問就任のお知らせ全国の金融機関ネットワーキングと銀行融資DX&BPOで円滑な融資をサポート」のとおり、SAKURA United Solution株式会社及び、一般社団法人日本財務経営協会に、新田信行氏が特別顧問として就任致しました。新田氏が持つ金融業界における豊富な経験と、金融行政人脈及び全国の金融機関とのネットワークを活かし、中小企業の皆様の経営課題、後継者問題を解決し、日本社会のサスティナビリティを高めてまいります。本稿では前編に引き続き、2022年10月26日に開催された、特別顧問就任記念セミナーの様子を一部ご紹介致します。

 

 

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【新田 信行(にった のぶゆき)特別顧問 プロフィール】

1956年生まれ、千葉県出身。1981年に第一勧業銀行(現・みずほ銀行)入行。

みずほフィナンシャルグループ与信企画部長を経て、2011年にみずほ銀行常務執行役員。

2013年から2020年まで第一勧業信用組合理事長、会長。開智国際大学客員教授。

地域金融機関の有志が集まる「ちいきん会」代表理事。

 

 

コロナ禍でも強固な顧客との関係が「見えない資産」

 

前編でお伝えした「見えない資産・簿外の資産」について、新田氏から事例をふまえて解説がされました。新田氏は、「強烈なサポーターがいる会社やお店は、コロナ禍でも生き残っている」と言います。あるお店には、「今だからこそ、お得意様全員に手紙を書いてみてはどうか」と提案されたそうです。困難なときこそ“共助”であり、顧客との関係という見ない資産が価値を生み出していくのではないでしょうか。

 

また共助の事例として、東京浅草組合のクラウドファンディングについても紹介されました。浅草で芸妓さんの取り次ぎや浅草花街の地域復興、芸妓の芸能文化向上などの活動をしている東京浅草組合は、新型コロナで甚大な影響を受け、文化を絶やさないためにクラウドファンディングを行いました。目標金額は100万円だったのですが、結果、181人の支援者から534万9,555円の資金を集めることができたそうです。

 

恒例の浅草踊りはコロナ禍で開催できない状況でしたが、「いつ開催できるかもわからない前売り券」にお金が集まったのは、強烈なサポーター、ファンがいた証です。

 

また最近は、来店客が戻ってきた飲食店の人材不足が顕在化しています。コロナ禍に従業員を退職させ、給付金で生計を立ててきた飲食店経営者は、その後再起できずにいます。一方で、コロナ禍でも従業員とともに耐えしのいだ飲食店経営者は、お客様も戻り、従業員もモチベーション高く働き続けていると言います。

 

この経営者の姿勢の差が、中小企業の持続性に直結するのではないでしょうか。そしてこの差は、とにかく経営の現場を見に行くことでしか、会社や事業の実態把握はできないと新田氏は断言します。

 

新田氏はバンカー時代、「現場第一」を貫き、工場や倉庫、店舗に行って経営者や従業員の働きぶりを見に行ったと言います。決算書を見てもわからないことを解明しに現場へ行くそうです。そんな姿勢や心意気が、士業などの経営者支援家にも求められているのではないかと感じます。

 

 

絆を大切にできるかどうかに未来がかかっている

 

新田氏からは、「お客様との絆」の重要性、リレーションシップマーケティングについても解説がされました。お客様や従業員、取引先企業、社会といった会社の存在を支えるステークホルダーとの長期的な関係を構築し、その関係性から互いの成長を促し、相互作用によって価値を創造していくこと。お客様の成長が自社の成長になることが重要であると言います。

 

最近の言葉で表現すれば、「顧客エンゲージメント」が重要であり、それ以上に「従業員エンゲージメント」「社員幸福度」が人の生産性につながると言います。ある統計によれば、幸せな社員は生産性が1.3倍、創造性が3倍にもなるようです。そして休日に「会社に行きたい」と思ってもらえる会社にすること。経営者にも、価値観のアップデートが必要なのかもしれません。まだまだ上から目線の採用や社員教育を行っている企業がほとんどなのではないでしょうか。

 

 

リレーションシップマーケティングでは、ステークホルダーとの信頼関係の構築が不可欠です。「しかし、昔ながらの人間関係だけではダメで、若者、余所者、バカ者を排除してはいけない。人と人との関係や現場を大事にして、それを未来につなげることが重要」と新田氏は仰います。

 

事業内容やその会社の製品、サービスを理解し、現場を見に行き、膝を割って話ができる関係性。そして、困ったときに相談に乗ってくれるキャディ的な存在が、中小企業経営者の皆様には欠かせないのではないでしょうか。

 

 

共助の和を広げ、「人と社会の時代」に適応しよう

 

新田氏は、セミナーの最後に「社会環境が激変し、コロナで時間軸が急回転した。変化への適応が、生き残りの条件。高度成長時代から成熟社会になり、経営資源がすべて逆になった。高度成長期は、モノ・カネが重視されていたが、今はヒト・サービス。均一性から多様性の時代になっている。生産性も、量から質へ。質を高め、価値を高めることが重要」と、社会の変化についても語られています。

 

社会環境の変化=社会ニーズの変化

 

であり、それによって「たくさんのブルーオーシャンが生まれている」と言います。小さなマーケットの独占戦略が有効で、中小企業にこそチャンスがある。人と人、企業と企業がつながることで新たな価値が生まれる可能性が高まるとも仰います。

 

また、アフターコロナへの道筋として、「経済、政治、社会」の3つの柱の連携が必要で、

 

「経済」 自助 事業者

「政治」 公助 公的金融

「社会」 共助 社会的金融

 

という柱の中で、共助の重要性が増し、事業者に寄り添って公助・共助につなげる力が必要とされていると言います。

 

今は時代の転換点にあり、1945年の終戦を軸に

 

1945年~2022年の77年間は「経済とお金の時代」

 

1868年~1945年の77年間は「政治、戦争の時代」

 

2022年~2099年の77年間は「人と社会の時代?」

 

と仮説されています。

 

そして、「昨今よく言われる持続可能性(サスティナビリティ)は、日本にこそある。アメリカやヨーロッパにはない。自然を支配せず、自然と共存共生するのが日本の価値観であり、そんな価値観が100年企業の多さにつながっている。仕事で徳を積み、未来に良い活動をしましょう」とセミナーを締めくくりました。

 

一般社団法人日本財務経営協会では今後も、経営者の皆様やその支援者の皆様に役立つ情報発信やセミナーを企画してまいります。